光
新任と転入生のご登場
突然、ドアが開いた。
まだ入学式が行われているであろう時間に、誰か入ってきた。
「おめーら、早く席つけ。HR始めるぞ。」
目配せし、とりあえず、全員席に着く。男はダルそうに教壇に立った。
「ねぇ、結構カッコ良くない?」
「お前ら、さっきからそれしか話してねーじゃん」
斜め後ろの左方向から、ひそひそ話が聞こえてきた。
確かに、ホスト界や芸能界なんかで、トップを独走出来そうな顔立ちだ。
「えー、今日からお前らの面倒を見ることになった、竜王昴だ。」
カッカッと黒板に名前を書いていく。なかなか達筆だ。
「俺の教育方針は、自己責任だ。」
ふてぶてしくも、そう言い切った目に偽りはない。
「おめーらが、どう過ごそうが何をしようが、別に構わねぇ。」
教師としていいのか、その発言。
「だがな、違反はするな。校則だろーが、法律だろーが、守るところは守れ。」
教卓に手を置き、あたし達をゆっくりと見渡す。
「まだまだ語りてぇとこだが、今日は転入生もいるからな、まずは、そっちを終わらそう。」
先生の言葉に、静かだったクラスは、一気に騒がしくなった。
その様子を見た先生は、なんとも優しい眼差しをあたしらに向けた。
それを見たのは、あたしだけだったようだ。