新任と転入生のご登場


突然、ドアが開いた。
まだ入学式が行われているであろう時間に、誰か入ってきた。


「おめーら、早く席つけ。HR始めるぞ。」


目配せし、とりあえず、全員席に着く。男はダルそうに教壇に立った。


「ねぇ、結構カッコ良くない?」
「お前ら、さっきからそれしか話してねーじゃん」


斜め後ろの左方向から、ひそひそ話が聞こえてきた。

確かに、ホスト界や芸能界なんかで、トップを独走出来そうな顔立ちだ。


「えー、今日からお前らの面倒を見ることになった、竜王昴だ。」


カッカッと黒板に名前を書いていく。なかなか達筆だ。


「俺の教育方針は、自己責任だ。」


ふてぶてしくも、そう言い切った目に偽りはない。


「おめーらが、どう過ごそうが何をしようが、別に構わねぇ。」


教師としていいのか、その発言。


「だがな、違反はするな。校則だろーが、法律だろーが、守るところは守れ。」


教卓に手を置き、あたし達をゆっくりと見渡す。


「まだまだ語りてぇとこだが、今日は転入生もいるからな、まずは、そっちを終わらそう。」


先生の言葉に、静かだったクラスは、一気に騒がしくなった。

その様子を見た先生は、なんとも優しい眼差しをあたしらに向けた。

それを見たのは、あたしだけだったようだ。





< 15 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop