光
先生に言われ、教室に入ってきたのは、やはり滝本くんだった。
そして、やはり女子のテンションは上がる。
「はじめまして、滝本魁と言います。これから、よろしくな。」
あ、またあの笑顔。
女子が悲鳴に近い歓声を上げた。
「じゃ、滝本は・・・・加納の隣な。」
ひかる、いーなー。などと羨ましげに言われても、ただ隣に座るというだけだ。
「よ!」
『また会ったね。』
偶然か必然か、また会うことができた。
椅子を引き、滝本くんが席に着く。あたしは、頬杖をついて、窓の外の桜を眺めた。
「今日はそんなもんだな。自由にしてていーぞー」
そう言われたら、瞬時に新任のところと、転入生のところに人が集まる。
「先生は、どの教科担なんですか?」
「俺は、数学。基本どれでも出来るがな。」
「彼女いるんスか?」
「最近の中学生は、マセてんなー。そう言うお前は、彼女いんのかよ?」
さすが先生。
肝心な部分は教えないよう、言葉を選んでいる。
「滝本って、部活とかしてたのか?」
「いーや、してねぇよ」
「えー?なんで?」
「だるいし。」
滝本くんも似たような対応をしている。
考え方は海と似てるけど、態度は先生と似てる。
でも、どことなく2人とは違う。そんな感じ。