先生に言われ、教室に入ってきたのは、やはり滝本くんだった。

そして、やはり女子のテンションは上がる。


「はじめまして、滝本魁と言います。これから、よろしくな。」


あ、またあの笑顔。
女子が悲鳴に近い歓声を上げた。


「じゃ、滝本は・・・・加納の隣な。」


ひかる、いーなー。などと羨ましげに言われても、ただ隣に座るというだけだ。


「よ!」

『また会ったね。』


偶然か必然か、また会うことができた。

椅子を引き、滝本くんが席に着く。あたしは、頬杖をついて、窓の外の桜を眺めた。


「今日はそんなもんだな。自由にしてていーぞー」


そう言われたら、瞬時に新任のところと、転入生のところに人が集まる。


「先生は、どの教科担なんですか?」

「俺は、数学。基本どれでも出来るがな。」

「彼女いるんスか?」

「最近の中学生は、マセてんなー。そう言うお前は、彼女いんのかよ?」


さすが先生。
肝心な部分は教えないよう、言葉を選んでいる。


「滝本って、部活とかしてたのか?」

「いーや、してねぇよ」

「えー?なんで?」

「だるいし。」


滝本くんも似たような対応をしている。

考え方は海と似てるけど、態度は先生と似てる。

でも、どことなく2人とは違う。そんな感じ。





< 16 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop