「なぁ」


隣の滝本くんが、声をかけてきた。見ると、人だかりがなくなっていた。


『何?』

「お前、彼氏とかいる?」


突然過ぎる質問に、あたしは目を瞬きさせた。


『え、いないけど』


会って一言二言会話しただけなのに、いきなりそういう話題になるものなのか。


「へえー。好きな奴は?」

『それもいない。』


滝本くんは、そっかそっか。としきりに頷いていた。


『滝本くんは?彼女とか好きな子とか』


別段興味も無かったが、聞かれっぱなしじゃ、癪なので、同じ質問をする。


「彼女はいねぇな。」

『じゃあ、好きな子はいるんだ。』


いーねぇ。まさに青春だよ。と呟けば、滝本くんの顔が真っ赤になる。


「ばっ、ちげーよ!!好きっつーか、・・・・気になるだけで。」


あらら、ゆでダコみたいになってるよ。意外と純情でシャイなんですねぇ。


『ふーん。可愛い子?それとも綺麗な子?』

「俺は、可愛いと思う」


もうこれ以上ないくらい、真っ赤に染め上げた顔を、机に突っ伏して隠した。


「も、もういいだろ!その話は!」


真っ赤な顔を伏せたまま、話を打ち切った。


『・・・・自分から話題ふった癖に。』


ぼそりと呟いた不満は、滝本くんには聞こえなかったようだ。





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