光
「海ー、ひかる起きた?」
1階からお母さんの声が聞こえてきた。
「今、起きたー。」
海も答えながら、階段を下りていく。
『・・・起きたんじゃなくて、起こされたんだっつの』
ボソッと呟き、カーテンを開いて、窓を開ける。
『何よ、アイツ。何もあんな起こし方しなくても良いじゃんか。』
「だから、今度から、叩き起こしてあげようか、って言ってんじゃん」
『っ!!』
下りたはずの海が、また部屋の前にいるから、思わず後ろに下がった。
『い、いきなり現れないでよ!!』
びっくりしたひかるとは、反対に海はのんびり欠伸をしている。
「何でもいーから、早く下りてきてくれる?俺、朝ごはん食べたいんだよね」
相変わらず、頭にくる言い方すんなー。
『すいまっせーん。』
「謝る気ないでしょ」
『とーぜん。』
スルリと海の前を通り過ぎて、階段を下りていく。
1階からは、味噌汁の良い匂いが漂ってくる。
『おはよう、お母さん、お父さん。』
「おお、おはよう。」
新聞を読んでいたお父さんが顔をこっちに向けた。
にっこりと笑う顔は、お爺ちゃんを彷彿させる。