光
「はいはい。そこまで!ちゃっちゃっと用意しておいで!」
『「はーい。
・・・・ご馳走さまでした。」』
お母さんに言われ、使ったお皿を片付けて、2階に上がる。
そーいや、今日は入学式か。うちの学校って、エスカレーター式だから、忘れちゃうんだよね。
『ねぇ海!』
「・・・何?」
眠そうに欠伸をする。
入学式なんか、だりぃ。
とか思ってんだろうな。
『海は、何か部活やらないの?』
「する気はないな。」
『あら、そうなんだ』
意外そうに言えば、チラリとこちらを見る海。
「・・・してほしい?」
『うーん・・・・。いや、帰ってくんの遅くなるから、やっぱりやんないで!』
「言われなくても、部活なんてしないよ。」
自室に入り、制服に着替える。
鞄を手に持ち、部屋を出る。
海も支度が整ったらしく、部屋から出てきた。
『・・・・』
「・・・・何」
上から下まで眺めれば、海の眉間に皺が寄る。
『あんた、似合うねー』
青を基調とした制服。
胸元に輝く学校のバッチ。
入学式の為、きっちり締められたネクタイ。
スラリと伸びた長い足。
袖から覗く手首には、腕時計とシンプルなブレス。
背は低く、まだ小さいのに、この色気はなんだ。
「・・・・ありがと」
『もう少し、素直に喜びなさいよ。』