夕日に落ちる星
授業開始の合図が鳴ってから

二十分ほど過ぎて学校に到着した。

その頃にはもう走ることもやめていて、

散歩レベルの速度で廊下を歩き

のんびり教室の扉を開くと、

国語の先生と目があった。


「先生おはようございます」

「はい、おはようございます」


柔らかい笑顔で挨拶をしてくれた。

まだ若い、教師三年目の先生だが、

まとっている雰囲気の安定感は、

何十年も教師をやっているのと

同じものを持っている。


「山城さんは今日も遅刻ですねぇ」

「あ、はい、すみません」

「いえいえ、全然構いませんよ。何か事情があったのでしょう」


流石に

『目覚まし時計の電池が切れていて』

とは言えないなぁ。

だって、この先生の時に

目覚まし時計が原因で遅刻したの

四回目だもん。

先生は優しいから、

たぶん信じてくれるだろうけど。
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