夕日に落ちる星
てか、暑いなこの教室。

蒸し風呂状態とはこのことだ。

眼鏡が自分の熱気で白く曇っている。

にじむ汗をハンカチで拭きながら、

席に向かおうとすると、

先生に呼び止められた。

やっぱり叱られちゃいますか?


「今日はこの前と同じように、皆さんには文章を書く練習をしてもらっているんです」


そう言いながら、

教卓の上の四百字詰めの原稿用紙を

二枚手渡してきた。


「今日の題材は『幸せ』です。山城さんの幸せを、好きなように書いてください」


同じ人間とは思えないほどの

眩しい微笑みだ。


「はーい」


ここで私もニコッとできたら

上出来なのだが。
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