イヴ
突然会社をやめてしまったオレを、親父もおふくろも責めなかった。




それどころか、オレの悲しみを理解してくれてあいつのお墓まで建ててくれた。




いい年になるというのに結婚もせず、プーとなってしまった息子に何故ここまでしてくれるのか?




答えはあまりにも残酷だった。




親父は末期ガンで余命一ヶ月を宣告されていたのだ。




オレがこのことを知ったのは、親父が倒れて病院に運ばれたときだった。




親父が死んでからおふくろは人が変わってしまった。




仕事もせず、一日中グータラしているオレに対してぶつぶつ文句を言い始めた。




結局、オレは家を出た。そして住み込みのバイトを転々としながら…そこからは記憶が曖昧だった。




そしてここにくる直前の記憶では、オレは公園にいた。
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