イヴ

アイツ

アイツとの出会いは自宅近くの公園だった。




その頃はまだ大学生で、友達と呼べる奴らもいた。




いつものように夜遅くまで飲み屋をはしごし、フラフラになりながらも自宅まで歩いて帰っていた。




すると不意に猫の鳴き声がしたのだ。




その猫こそがアイツ、名前はつけてなかった。




オレはペットに名前をつけることが、最もバカらしい事だと思っていたからだ。



だからオレは今まで飼ったペットにも名前では呼ばずに、『アイツ』とか『お前』とか色々な二人称で呼んだ。




そうやって呼んでくうちに定着したのが『アイツ』ってわけだ。




オレはよくその公園に通うようになり、アイツもオレが来ると、どこからともなく現れるのだった。




アイツは野良猫という部類ではあるが、見た目はどこかの飼い猫みたいだった。



もしそうなら、クロとか呼ばれてるんだろう。
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