芽生える思い
思い
「はぁ~…」
ガヤガヤとうるさい教室の中でついた私のため息は、一瞬にしてかき消された。
誰かに聞いてほしいわけじゃない。
誰かに気にしてほしいわけじゃない。
誰かに心配してほしいわけじゃない。
数日前、私は友達に裏切られた。
ずっと信じてきていた友達。
この子だけは本当に信じれていたのに…。
それに…裏切られたショックは、自分が思っている以上に心にきていた。
「まゆー!」
ん?
いきなり名前を呼ばれて少し大げさに体が反応した。
あ、私は高村真由。
17歳の高校2年生。
恋は…2年前に捨てた。
「どうしたのー?今日は元気ないかぁー?」
私の顔を覗き込みながら優は言った。
この子は高校に入って出来た友達の、山木優。
ものすごく明るい子で、みんなに好かれてる。
私にはないものを持っている気がして、私の憧れ。