Thanks
(和之side)
次の日。
学校に来ると同時、俺は笑い者だった。

『和之〜! ちょっとお願いがあんだけど…』

廊下から洋が呼ぶ。

『何?』
『ブッ 何その顔!!』

洋は俺の顔を見るなり吹き出して笑い転げた。

よく見ると洋の顔にはあまり痕がない。

『何で洋だけ…?』
『だって俺は抵抗してないし。』
『え゙?』
『和之みたいに抵抗するとコッチまで傷が深くなんじゃん?』

こいつ…
だから大人しく捕まってたな。

『じゃあよく怪我してるのは…』
『抵抗しなきゃ一発殴られるだけで助かる事よくあるからな。』

あ…
呆れたー…

俺が肩を落としていると後ろから男が2人、飛び付いてきた。

『和之って理系の奴と仲いいんだ〜!』
『ま、まぁね。』
『俺、岡本! こいつ木村! 和之の友達ね?』

2人は洋に無邪気に挨拶する。

『俺は洋ね? よろしく。』

洋も笑顔で返す。
今度は作り笑いなんかじゃない…
本当の笑顔。

『洋! 今日は4人で親睦会やろーぜ♪ カラオケでオールだ!』

岡本は洋の肩を叩いてそう言うと教室の奥に戻っていった。

『悪いな… 軽い奴らで…』

残された俺は何だか気まずくて洋に謝る。

あいつらは賑やかな事が大好きで、親睦会やら失恋会やら交流会やら…
まぁ、とにかく騒ぐ事に命をかける奴らだ。

『いや、好きだよ? 和之っぽくて…』

俺っぽいって…
ちらっと岡本達を見ると窓際で腹踊りをしていた。

俺ってあんなに馬鹿か?



その日、俺と洋と岡本と木村は4人でカラオケに行った。

女の話やバイトの話…
とにかくたくさん話した。

『そーいや、俺の携帯に和之の番号が入ってたけど何で?』

カラオケBOXで洋は俺に聞いた。
それはね…

『俺がこっそり洋の携帯に登録したのさ♪』
『は、犯罪…』
『まぁ、そのおかげで助かったでしょ?』
『…まぁね。』

終わり良ければ全て良し…でしょ♪
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