Thanks
(雛姫side)
バスで2時間弱。
私達一行は温泉街へと到着した。

『皆、忘れ物しないでよ〜?』

1人年上という事もあり、すっかりお姉さんの気分。

『新! 着いたよ!』

紗奈は隣の新を揺すって起こす。

『んぁ? もう着いたの…?』

寝ぼけながら新は辺りを見回した。

その時…
耳に挿さっていたじゃがり○が座席に当たって「ポキン」と折れた。

『あ……っぶね〜!!』

ようやく事態に気付いたらしく、もう片方のじゃがり○を抜く。

『あはははは!!』

それを見て仕掛けた雅は大笑い。

『雅ッ 前にもやって怒られただろ?!』

そんな雅の胸ぐらを掴んで怒鳴る新。

『前はポッキーだったもーん♪』
『菓子が変わればいいってもんじゃねーよ!!』

どうやら雅には前科があるらしい。
春の遠足、ポッキーで同じ事をして新が振り向く時に耳に刺さったという前科が…
しかも耳鼻科に通院したとか…

『俺だって心を改めて太い菓子にしたんじゃん?』
『だから菓子の問題じゃねーって…』

横目で睨み合う2人。

『もうそんな喧嘩はいいからバス下りようよ!』

2人に呆れた紗奈は新の背中をドンと押した。

『お前ら、何で誰も雅を止めねーんだよ!』
『そんな事よりッ 早く荷物持って下りて!!』
『は、はい…』

私の一言で新は水をかけられた犬のように大人しくバスを出ていった。

『ったく…』

賑やかすぎて頭痛くなるわ…
< 19 / 94 >

この作品をシェア

pagetop