Thanks
(雛姫side)
海から上がって旅館に帰る途中、一同は肩を震わせて歩いた。

『早く温泉入りて〜!』

ガタガタと震えた声の雅。
暖かいって言ってたくせに…

旅館につくと早速、温泉に入りにいった。

室内に沢山の種類のお風呂があって、外には大きな露天風呂。

『温泉なんて久しぶり〜♪』

久しぶりの事にはしゃいで湯舟に飛び込んだ。

広くって泳げそ〜!

『サウナとかあれば良かったのになぁ〜!』
『紗奈ちゃん、痩せてるから必要ないよ〜?』
『そっかなぁ…』

真由と紗奈は女らしい会話をしている。

私だけボーっとお風呂につかっていた。

暖かーい…
そう言えば露天風呂もあるんだっけ。

そっと外に通じる扉を開けてみると露天風呂には誰もいなかった。

『ラッキー♪』

早速飛び込んでみた。

お湯の色は真っ白で少しトロッとしてる。

気持ちー!
誰もいないなんて何でだろ。

そんな風に思っていると扉が開いて人が入ってきた。

2人きりなんて気まずいなぁ…
ついつい背中向けちゃう。

『…雛姫?』

…この声…
この呼び方…

まさか…

『雅…?』

雛姫の目に入ったのは、いるはずのない人物…
雅だった。

『へッ 変態!!』
『なッ… 雛姫が男湯にいんだよ!』
『私ぃ?!』

でも私は確かに女湯から…ッ

『だって真由と紗奈もあのドアの向こうに!』

私は自分の出てきた扉を指差す。

『俺だってあっちで新と…!』

そう言う雅が指差した方向は私が指差した扉と全く違う扉。

何で扉が2つも…

『『まさか…繋がってる…?』』

2人で声を合わせる。

『…ッ雅が先に出てってよ!!』
『嫌だよ! 恥ずかしい!』
『恥ずかしいって、男でしょ?!』

男のくせに恥ずかしそうに口まで湯に入る雅。

私なんてッ タオル置いてきちゃったんだぞ〜!!

『雛姫が先に出ろって! どうせバスタオル巻いてんだろ?!』
『まッ 巻いてるに決まってんじゃん!』
『だったら出なさい!』

すまん…
素っ裸なんだよ…

でも巻いてないなんて言ったら何されるか…
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