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『和之〜! どうしたのぉ?』

教室に戻った俺は誰から見ても不機嫌な顔をしていただろう。
彼女のルミが心配して寄ってきた。

『裏庭でグロいもん見た。』
『何それぇ!』

正確には見えてないけどさ…

『パッキンが女とヤッてたんだよ、裏庭で…』
『うん? 外人?』
『日本人。』

この学校に金髪なんて腐るほどいる。
なんせ馬鹿校だからな。

でもあいつ…

『有り得ないぐらい美人だったんだよ…』
『え? 女?!』

ルミの反応は一々、大袈裟すぎて笑える。

『男! 男だけど綺麗な奴だよ。』
『それって〜… 6組の子じゃん?』
『6組?』

俺達、1年は1組2組が商業科。
3組4組5組6組が普通科。

普通科の中でも5組6組は特別だ。
あそこは理系クラスで唯一、学力の高いクラス。

『有り得ね〜! 金髪でどこでもヤるような男だよ? 理系じゃないっしょ!』

有り得なさすぎで俺の大笑いはしばらく止まらなかった。


そして放課後…

『またすっぽかしかよぉ…』

校門でルミを待つ俺は1人寂しく待ちぼうけをくっていた。

ルミは約束を忘れる事が多い。
だからこんな事くらい屁でもねぇさ。

でもさすがに寒いな…
4月っていっても肌寒い日もあるからな。

そんな事を思っていると突然、誰かに頭を掴まれた。

『よぉ 掃除当番。』
『あ、パッキン!!』

掴んだのはあの裏庭の男だった。

『彼女でも待ってんの?』
『ま、まぁね…』
『へぇ、幸せじゃん。』

奴はニッと笑って地面に座った。
俺も同じように座る。

つーか何で話なんてしてんだろ…

『彼女いるのって楽しい?』

何でコイツからそんな質問をされるのか解らなかった。

『…楽しいよ… 可愛いし…』
『へぇ… そりゃ良かった。』

何となく…
寂しそうな笑顔が気になった。

『さて俺はもう行くわ。』

男がそう言って立ち上がる。

『あ、俺は和之! あんたは?』
『洋。 真中洋…』

真中…洋…

『洋… またな。』
『和之も、風邪ひく前に帰れよ?』

これが初めて交わした俺達のまともな会話。
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