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ハルが去った後、ようやく新入生の声が聞こえるようになった…

『追い掛けないんですか?』

先頭を着いてきていた栗色の髪の生徒が言う。

『私も事情知らないけど… あの人、すごく傷ついた顔してた…』

傷ついた…?
ハルが…?

『私達、先輩達が戻るまでココで待ってますよ?』

女はニコッと笑うと俺の胸をトンッと押した。

『…ちゃんと待ってろよ…? ハルの停学かかってんだから!』

年下の女…
しかも中学生から背中を押されるなんて複雑な気分だけど…

『ちょっとハルに謝ってくるわ。』

ハルは俺の言葉で怒ったんだ…





『はぁ~あ…』

俺、短期だなぁ…
一久に八つ当たるなんて…

でも一久にまで、あんなふうに思われてると思ったら何だか嫌になって…

そんなふうに思いながら顔を上げる。
すると目の前に小さな女の子が立っていた。

『いッ いつからそこに…!』

大きな真ん丸の目にサラサラの髪…
中学の制服を着てる。

『たった今。 体験入学に遅刻しちゃったんだけど、何処に行けばいい?』

今までに見たどんな子より可愛いと感じた…

『ちょっと聞いてんの?! 私、本気で困ってるんだけどッ…』

…前言撤回…
気の強いのは苦手です…

『俺が案内係だから俺と一緒に来ればいいよ…』
『案内係のくせに何で1人なのよ。』

一々うるさいなぁ…
別に関係ないやん…

溜め息をつきながらそっぽを向く。
その瞬間、遠くから一久が走ってくるのが見えた。

『ハルっ!!』
『…ッ』

やべ…
どんな顔しよう…

『ハルごめん…ッ!!』

一久は俺を見るなりガバッと頭を下げた。

意外すぎる行動に俺はしばらく唖然としてしまう。

『ハルの事、全然知らないくせに馬鹿な事言った…』

それは俺の方だ…
軽々しく「帰れ」なんて言ったから…

『俺も…悪かった…』
『ハル…』

一久は安堵の笑みを漏らして、何度も繰り返した。
「ごめんな」と…
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