Thanks
Hopeに来て1ヶ月が経とうとしていた。

『御指名ありがとうございます。 ハルです。』

週のほとんどをHopeで過ごし、着々と売り上げを伸ばしつつあった。

そして気付いた事がある…
太一は0時になると店から姿を消す。

『営業だよ、営業!』
『営業?』
『ホテル行ってイカせて終いってやつ。 まぁ、オーナーは最後までしないみたいだけどな。』

いつも俺といる太一からは想像もつかない裏の顔…

俺は正直、御免だね…
セフレとも少し違うやん…

そんなの餌貰って言う事きく飼い犬と同じだ。








『あははははッ ただの飼い犬かぁ!』

翌朝、店に戻ってきた太一は俺の意見を聞いて大笑いした。

『佳晴は正直だねー! ま、そこが気に入ってんだけど。』

気に入られてる気、しませんけど…

『でもね佳晴。 飼い犬にだって色々あんだよ?』
『言い訳?』
『いや、本当。 少なくとも俺はこのやり方を自分で選んでる。』

太一はニッと笑うと、複雑な気持ちの俺を見た。

俺だって、恋人でもない人を抱いた事がある。
そーゆうの嫌いじゃない。

だけど、何か納得出来ない。

『納得出来ませんって顔だね。』
『…別に…』
『じゃあ、佳晴のやり方で俺を追い抜いてみなよ。 そしたら俺も佳晴に従うから…』

その不敵な笑みは「抜かれない自信」からくるのだろうか…
その時はそう思った。

『佳晴が俺を抜いた時、Hopeは佳晴に回してもらう。』




大人と子供の違い…

俺は太一の背負う物の大きさも知らず、自分勝手な意見を押し付けていた。

それは…
今になって思う…
< 51 / 94 >

この作品をシェア

pagetop