Thanks
どういう事情かは知らないが、詩織は自らを使って生活している。

やり方は違えど、俺と同じ…
人間ではなく商品として生きる人種。




『片付け…しようか?』

2人分のお皿を流しで洗っていると、後ろから詩織がそう言った。

『えーって。 お客さんやねんから…』

振り返りもせずに答える。
すると腰周りを白くて細い腕が一周した。

『詩…織…?』
『ありがとー…』

そう呟く詩織。
だけどその手は…

『ちょッ 待…ッ』

ジーンズの上から、俺のものを優しく撫でる。
時には下から持ち上げるように…

『詩織…ッ』

意味不明な行動に困惑し、何度も詩織を呼ぶ。
けれども詩織は止まらなかった。

器用にベルトを外し、チャックを下ろす。
その後でひざまづき、そっと下着を下ろした。

『ちょ、ちょっとッ!!』

頼んでないんすけど!!

俺は必死に下着を上に引っ張り抵抗する。

何で?
どうして?
つかコレは逆レイプだよな?!

手は抵抗してみせるが、下半身は抵抗を止めてほしいらしい…
自分でも脈打つのが解る。

お前(下半身)は引っ込んどれや…

そんな命令、「奴」がおとなしく聞くわけもなく…
徐々に大きくなる「奴」を詩織は下着の上から、軽く噛んだ。

『痛…ッ』

小さな痛みに「奴」の暴走は止まらない。


『…ッ…待っ…』

下着ごしではない、生暖かい感覚…
詩織の舌は何の躊躇いも無しに俺を撫で上げる。

柔らかい唇に包まれ、思わず息が漏れた。



『ハァ…ッ… ごめん…』

頭では解ってるけど、体は限界…
詩織の顔にぶちまけてしまいそうだ…

『…ッ』

何の予告も無く吐き出された白濁の欲望は、詩織の口内へと排出される。

『………コクン…』
『ばッ やめろよ!!』

またしても躊躇いなくそれを飲み込む詩織に俺は声を上げる。

『何で…?』
『何で…って…』

美味い物ではないし…
頼んでもない。

『気にしないで… ご飯の御礼だから…』

フッと涼しげに笑う詩織に、血の気が引くのがわかった…

俺は間違ってた。

詩織は俺と違う…
本物の商品だ…
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