Thanks
(和之side)
洋と話すようになって1週間。
気付いた事がいくつかある。

洋には彼女がたくさんいる事。
あまり笑わない事。

そして…
よく怪我をしている事。

あの日も怪我していたっけ…

『痛ッ…』

屋上で2人で弁当を食べていた時に洋が突然、声を上げた。

『何? どっか怪我した?』
『口。 味噌汁がしみた。』

さっきコンビニで買ったばかりの味噌汁…
洋は1口飲んだだけでやめてしまった。

よく見ると唇の右端に切れたような痕があった。

『喧嘩?』
『自分で噛んだんだよ…』

洋はニコッと笑う。
…作り笑い。

仲がいいと思ってるのは俺だけかな…

《〜♪〜♪》
その時、俺の携帯が鳴った。

『あ、ルミだ!』

実は最近、ルミと連絡を取り合っている。
なんでも男にフラれただとかで…

しばらく話した後で俺は電話を切った。

『元カノ? 連絡なんてとってんの?』
『悪い? やっぱ可愛いもんは可愛いんだよ。』

未練たらしいとは思うけど、やっぱ一度は好きになった女だ。
簡単に嫌いになれない。

『まぁ、和之が決める事だけどさ… あの女は止めたほうがいいんじゃね?』
『…どーゆう事?』
『さぁね。』

洋はそのまま屋上を出ていってしまった。

何だよ一体。
感じ悪…

つーかルミに呼び出されたんだった。
早く行こう。

俺は弁当のゴミを袋にまとめて屋上を後にした。
< 7 / 94 >

この作品をシェア

pagetop