Thanks
『ご指名、ありがとうございまーす♪』

詩織と一緒に暮らすようになって5日。
俺は毎日が上機嫌。

『ハルくん、いい事あったぁ? この間の顔と大違い!』
『わかりますぅ? いい事あったんすよー…』

まず第一…
詩織はお店に出なくなった。

辞めたのか無断欠勤か…
あれ以来、夜は家にいる。

俺も仕事が終わったら、真っ直ぐに詩織の元へ帰った。






『ハルくんAB型なんだぁ!』

ある夜、詩織は雑誌を読みながらそう尋ねた。
子供じみた血液型占い。

はたして人間の性格をたった4つに分ける事、本当にできるのだろうか…

『そうなんだぁ… ハルくんABっぽいもんね?』

そう言って詩織が笑うから、何故かこっちも嬉しくなった。

『俺の血液型、2000人に1人の割合なんやって。』
『え…?』
『Rh-のAB型っての。 俺も最近知ったんけどね?』

【2000人に1人】
太一はそう言って俺に血をくれた。

それがどういう意味か。
どれだけ希少か。
俺はよく解ってなかった。

『…じゃあハルくんが怪我したら、どうなっちゃうの?』
『うん?』
『死んじゃうの?』

詩織のこの言葉を聞くまで…

『大袈裟な… 血くらい血液センターにいくらでも…』
『そこに無かったら?』
『そしたら誰かに貰うよ。』
『誰かって誰? 2000人に1人なのに…どこにいるの?』
『どこって…』

2000人に1人…
判ってるのは俺と太一。
単純に考えて後の3998人はRh+のAB型なんだ。

『…ごめん… 怪我しないよう気をつけるよ…』

俺には太一が必要で、太一も俺が必要…
それに初めて気付かされた。

それなのに…


【もうお前はHopeに必要ない】

俺はいつしか、その事実を忘れてしまってたんだね…
< 70 / 94 >

この作品をシェア

pagetop