Thanks
【泳いじゃおうかな、俺】
詩織。
覚えてるかい?
【風邪引いちゃうよー?】
白い砂浜の上。
君は初めて笑顔を見せたんだ。
たったそれだけの事で、「ここ」は俺の大切な場所になった。
『綺麗… ここが佳晴くんのお勧めの場所なのね。』
白い手が砂をすくう。
さらさらと指の間から零れる砂は、砕けた宝石のように見えた。
『嫌な事や悩み事があると来るんだ。 昔からそうしてる。』
『佳晴くんにも悩む時があるのね。』
クスクスと笑い声が俺の耳を掠めていく。
あの日、詩織を捨てた俺。
今、詩織が隣にいる事でこんなに嬉しい。
意志の弱い男でごめんな?
この十数年、詩織を忘れた日は無かった。
ハルを忘れた日は無かった。
『佳晴くん、いつもありがとう。』
と突然、詩織はかしこまって御礼をする。
その意味が解らなくて、返答を返す事さえ忘れてた。
『最近は私、すごく元気よ? 食欲もあるし。』
いや待て。
待ってくれ。
『佳晴くんが毎日来てくれたお陰。』
言わないでくれ詩織。
『だから佳晴くん…『詩織ッ…』
詩織の言葉を遮るように詩織を強引に抱きしめる。
相変わらず折れそうに細い肩はどう抱いていいのか少し戸惑った。
頼むよ詩織。
俺を捨てないで。
「だから佳晴くん、もう来なくていいのよ」
君はそう言おうとしてるんだろ?
あの日と同じように。
『佳晴くん…』
腕の中でモゾモゾと動き、腕を俺の胸に当てる。
そのままピンと伸ばし、お互いの距離をとった。
【ハルは貴方の子供じゃないの。】
もうあの日のような、そんな嘘は通用しない。
ハルは俺の子だ。
もう二度と、二人を失いたくないんだよ…
詩織。
覚えてるかい?
【風邪引いちゃうよー?】
白い砂浜の上。
君は初めて笑顔を見せたんだ。
たったそれだけの事で、「ここ」は俺の大切な場所になった。
『綺麗… ここが佳晴くんのお勧めの場所なのね。』
白い手が砂をすくう。
さらさらと指の間から零れる砂は、砕けた宝石のように見えた。
『嫌な事や悩み事があると来るんだ。 昔からそうしてる。』
『佳晴くんにも悩む時があるのね。』
クスクスと笑い声が俺の耳を掠めていく。
あの日、詩織を捨てた俺。
今、詩織が隣にいる事でこんなに嬉しい。
意志の弱い男でごめんな?
この十数年、詩織を忘れた日は無かった。
ハルを忘れた日は無かった。
『佳晴くん、いつもありがとう。』
と突然、詩織はかしこまって御礼をする。
その意味が解らなくて、返答を返す事さえ忘れてた。
『最近は私、すごく元気よ? 食欲もあるし。』
いや待て。
待ってくれ。
『佳晴くんが毎日来てくれたお陰。』
言わないでくれ詩織。
『だから佳晴くん…『詩織ッ…』
詩織の言葉を遮るように詩織を強引に抱きしめる。
相変わらず折れそうに細い肩はどう抱いていいのか少し戸惑った。
頼むよ詩織。
俺を捨てないで。
「だから佳晴くん、もう来なくていいのよ」
君はそう言おうとしてるんだろ?
あの日と同じように。
『佳晴くん…』
腕の中でモゾモゾと動き、腕を俺の胸に当てる。
そのままピンと伸ばし、お互いの距離をとった。
【ハルは貴方の子供じゃないの。】
もうあの日のような、そんな嘘は通用しない。
ハルは俺の子だ。
もう二度と、二人を失いたくないんだよ…