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8月10日。
星の綺麗な夜だった。
『へい、らっしゃい、らっしゃい!』
『やめろって、その声掛け』
いつものように、俺と太一はちちくり合って(?)いた。
昼間の暑さから逃げるように、夜になると人はココへやってくる。
このHopeへ……
時計の針が10時を超えた頃だろうか。
休憩に入った俺は、携帯に詩織からの着信がある事に気付いたんだ。
それに出なかったからだろう。
短いメッセージが入っていた。
「まだ予定日前だけど、破水してしまいました」
焦った様子もなく、「とりあえず言っときます」感溢れるメッセージ。
だけど、もし詩織とハル(仮名)に何かあったらと思うと、いてもたってもいられなくて……
俺は何の断りもなく、店を飛び出してしまってた。
『くそ……ッ』
中々止まらないタクシーに苛立ちながら、手を上げつづける。
しかし、それでも止まらないから、仕方なく車道に立ち塞がってタクシーを止めた。
『馬っ鹿野郎!!』
タクシーの運転手は窓から顔を出し、怒鳴りつける。
それをチャンスと思い、助手席に強引に乗り込んだ。
『か、回送って書いてあっただろう!?』
それは百も承知だ。
『しかも助手席乗んなよ、怖ぇから!』
それも解ってるんだ。
『頼む…… 連城総合病院に向かってくれ』
でも、こっちもなりふり構ってられないんだ。