ラッキー☆ルーレット
第三回 迷子の子猫
 「……今日、部活はないのか?」

何から話したらいいのか分からなくて、こんな切り出し方しかできなかった。

確か……雪乃はバレーボール部だっけな。

「うん。体育館の補修工事で使えないからって」

「へぇ~」

当たり前だが至って普通の会話だ。

「蔵重君は何で部活入ってないの?」

「めんどくさいんだよな~いちいち。大会だの、練習試合だのって。それに特にやりたいスポーツもないしな」

「そっか……」

会話が続かない。
無理もないけど。

「ところで……どうして俺なわけ?」

「えっ?」

「その……突然、一緒に帰ろうだなんてさ」

こういうことは遠回しに言うよりストレートにってな。

「前から蔵重君に興味があったの」

マジ?
それって、それって……、
つまり、

興味がある→もっと知りたい→『好き』!?
つーか!この流れはこれで合っているのか?

高鳴る心臓の音を抑えながら、落ち着けと何度も自分に言い聞かせる。

「だから……」

ドキドキドキドキ……。
遂に待っていたこのシチュエーション!


「お友達になって下さいっ!」


へっ?


……友達?

人生甘くはないと思っているのだが。
やはりその持論は正しいようだ。
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