ラッキー☆ルーレット
「ただいま」

玄関の扉がいつもより重く感じるのは気のせいなのか。

「あら、お帰り」

台所から母さんが顔を出した。

二階へと続く階段この先に俺の部屋がある。

「あ、そうそう!未来、ミクちゃんが見当たらないんだけど、知らない?」

「俺が知るわけ……」


『そっか……それなら仕方ないよね』


あいつ!

「悪いけど捜してきて……あれ?もういないわ、あの子」

玄関には未来の鞄だけが置き去りになっていた。



あのバカ!どこに行きやがった!

「ミク~!!お~い!!ミク!!」

とにかくひたすら俺は走った。

そんなに遠くは行ってねぇハズだ。
あいつが行けるわけもない。(そもそも金も持ってないだろうし)
絶対この近くに居る。

今はそう信じて捜すしかない。

辺りは暗いため猫らしきモノを見つけるとすぐさま反応してしまう。

「違う……か」

公園、学校、駅周辺……他に……他にあいつの行きそうな場所。
どこなんだ……。


一体……どこ。


そうだ!もしかしたら……。
俺の読みが正しければきっと――。

『蔵重未来さん、あなたのラッキー指数はゼロです』
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