ラッキー☆ルーレット
俺とミクが初めて会ったあの……、

そこは商店街を抜け大通りから一本路地を入ったところにある、
あの青い屋根の家の前。

「ミク……」

月の僅かな光に照らされて、真っ白い猫が背を向けて佇んでいた。
今宵はまんまるでとても綺麗な満月だ。

「……未来」

やっと見つけた。
安堵する俺は――彼女の方へ一歩ずつ歩み寄る。

このまま見つからなかったらどうしようかと思っていた。
だからこそ出た第一声。

「心配かけさせやがって」

「……未来バカ」

「?」

「私の気持ちなんてこれっぽちも分かってない」
彼女はまだ振り向いてくれない。

「……友達だってさ」

「えっ?」

「雪乃にとっての俺は『友達』なんだってさ。今の俺にはお前が必要なんだよ、ゼロの俺にはな」

「未来……」

「帰るぞ」

「うんっ!!」

俺にとってミクは『友達』よりも大切なもの。
それが何なのかは……。

今はまだ分からない――。
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