ラッキー☆ルーレット
第四回 知りたいワケ
 今朝は朝から雨が降っていた。

「雨か……こういう日は家でじっとしていたいよなぁ」
窓から外を見る限りでは結構、本降りだ。

「早く行かないと遅刻!!」

「わ〜ってるって」

気が付けば六月、世間で言う『梅雨』の季節。
今日はまだ月曜日、週は始まったばかりだ。
しかし雨が降っているとなんだか心が憂鬱になるのは……、

「未来~傘、傘!」

「おっと、いけね。って言うかお前いつまで俺の背中にひっついているわけ?」
視界も比較的見えやすい透明な『ビニール傘』を選ぶ。

「学校に着くまで。だって走ると濡れるんだもん~」

「……ったく」

俺だけなのだろうか。


「なぁ、ミクの生まれた世界では『雨』って降るのか?」

「もちろん。でも雨は嫌いだな」

同じだ……俺と。

そう言えば、俺は彼女の素性を殆ど知らない。
どこの星に住んでてどうして俺のところに来たのか?
知りたいけれど……。


『そのうち分かるわよ』


「そのうちっていつだよ」
曖昧にするのは大人のよく使う手だ。

「何か言った?」

「別に……そろそろさ、話してくれてもいいんじゃないか?お前のこと」

やけに背中が軽くなったと思ったら『猫』ミクが居ない。
時計を見るとさっきまであと十分あった時間が、三分になっていた。

あんにゃろ……。

自分だけタイムスリップしたな。
全速力で走るも雨のせいで傘は視界を遮り、路面は足元を不安にさせる。
いつもスピードが全然出ない。

キーンコーン……。

「くそ~っ!!ミクのヤロウ~っっ!!絶対に許さん~!!」

俺の叫び声もよそに雨音は静かに時を刻んでいた。
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