ラッキー☆ルーレット
「今日もギリギリセーフ!」

最後の鐘の音と同時に滑り込みセーフを果たしてみせた。

「ぬかせ!」

今日は特に息切れしているのが自分でも分かった。
ミクはそんな俺の苦労も知らず涼しい顔で着席している。
それがまた無性に腹が立つ。


「おはよう」

「お、おはよう」

友達……か。
昨日の記憶が再び頭の中でリピートする。

「蔵重君、大丈夫?びしょ濡れよ!!」

「誰さんのせいでな、傘を差さずに全速力で走るハメになったもんで」

「?」

「あっ、いや。気にしないでくれ」

「よかったら……どうぞ。何枚か持っているから貸してあげる」

「ありがと」

彼女がスポーツバックから取り出したのは、薄いピンク色のタオルだった。
きっと部活で汗を拭うために使うものだろう。

すごくいい香りがする……、雪乃の匂いだ。





「未来……ごめんね」

朝のHRと一時間目の間の短い休み時間。
ミクの方から謝ってきた。
それだけ反省しているってことなのか……?
だが、

「俺は今回、猛烈に頭にきている。いいか、今日こそ全て話してもらうからな、覚悟しておけよ」

「はい」

易々と許すわけにはいかないのだ。
お前の素性も含めて俺には聞く権利がある。

全ての事の『理由』をな――。
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