ラッキー☆ルーレット
第一回 ゼロからのスタート?
カラーン……コンコンコン……。

『白』

この色は……思わずゴクっと息をのむ。

雑学ではあるが、一般に『ガラガラ』と呼ばれるこの機械、正式名称は『新井式回転抽選器』と言うらしい。

「はい、どうぞ」

機械的に渡されたそれは――お決まりのポケットティッシュだった。
よく駅で配っている代物とは違う、ちょっと高級そうな。
この際、そんなことはどうでもいいのかもしれない。
ハズレはハズレなんだから。

「人生、そんなに甘くはねぇってことだな、うん」
自分で自分を慰めるのも何度目だろうか。

これで俺のハズレ歴がポケットティッシュ十一個になった。
つーか……そもそもアタリは入ってるか?疑いたくもなる。

「次の人どうぞ」

俺の後ろに並んでいたおばさんが福引き券を渡す。
ハズレてしまえ。
そんなことを思ってしまう俺は心が狭いのかもしれない。


ガラガラガラ……。

カラーン……コンコンコン……。


「おっおめでとうございますっ!!一等のハワイ旅行当選です!」

なっなに~っ!!!
他のヤツが当たるならまだしも、俺の次に並んで居たヤツが当たるっていうのは無性に悔しい。



「はぁぁぁぁ……俺ってなんでツイてないんだろう」
今に始まったことじゃないかもしれないけど。
さっきもらったポケットティッシュを片手に溜息をついた。
そして、空を見上げる。
カラスが一羽、飛んでいくのが見えた。

「なんかいい事ねぇかなぁ~例えば……かわいい女の子と素敵な出会い……な~んてな、そんな都合のいいことあるわけ……な……ぃ」


「ども~!初めまして!!」

へっ?!

「蔵重未来さん、あなたのラッキー指数はゼロです」

いきなり俺の前に現れた一人の少女。
この娘は一体……何者なんだ?
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