ラッキー☆ルーレット
「十五分前か」
高円田駅前、時計台の前。
ここは待ち合わせの定番とも言える場所。
周辺は日曜日だけあって、俺の他にも同じような境遇の人がたくさん居る。
携帯で電話する者、メールをする者、時計とにらめっこする者……そして、

「デートとしてはジャストリミットですな」

「バーカ、『デート』じゃねぇよ。ただ……」

「ただ?」

「映画を見に行くだけだ」
猫と話をする者。


「蔵重君~っ!ごめん!待った?」
ジャスト十時!

「十五分くらいかな。それより……」

「どうしたの?」
私服の雪乃を見るのは初めてだった。
制服姿もかわいいけれど、私服姿はその何倍も、

かわいい。

「いや……別に」

「行こうか!」

「そうだな」
花柄のスカートに白いブラウス……。
それが朝浴びた陽の光よりも俺には眩しかった。
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