ラッキー☆ルーレット
『ミク、元気?』

「レオ!!」

そのレオと呼ばれた少年は愛想よく手を振って笑っていた。

『明日からこっちも一週間だけ夏休みなんだ。それで久しぶりにミクに会いたいと思ってるんだけど……そっち遊びに行ってもいいかな?』

「なっなんですって~っ!」

『ダメと言われても会いに行くけどね!それじゃあ、また!我愛しのミクへ  レオより』


きっ──消えた。

そう言い残すと跡形もなく少年の映像は視界から消え去った。


「あいつ、誰?」

「私の幼なじみでラッキードリームの住人。月見学園では常に成績優秀、月人の最高名誉である『ローズ』(称号)まで昇りつめ周囲の人たちは彼のことを天才と呼んでいるわ。それに加え!自信過剰で目立ちたがり、何よりもっ!私に付きまとう嫌な奴なの!」

ミクがこんなにも腹を立てている様子は今まで見たことがない。

「付きまとうって……それは単にお前のことが好きなんじゃないのか?愛しの~とか言ってたし」

「冗談はやめてよ!誰がなんと言おうと私は大キライなんだからっ!」

「まぁまぁ、そんなに毛嫌いしなくても……なっ!」

「未来は何も分かってない!分かってないよ……」

「……ミク」

彼女はルーレットをしまうと、窓の外を見上げて大きく溜息をついた。
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