ラッキー☆ルーレット
「政府内の秘密任務を負っている最中、狙われていた要人をかばって撃たれたんだ」

よほど彼女にとっては大事な『約束』なんだろう。

「好きだったのかな?そいつのこと」

「ヒロもな……。でも付き合ってないとは言ってたぜ」

「付き合ってない?」

「ミクは一人前になるまで誰とも付き合う気はないって言ったらしい」

頑張り屋の彼女ならではの回答だな。

「それにしてもお前、デリカシー無さそうだもんな。だから散々毛嫌いされてるわけだ。そうか、そうか。な~ぁんだ」
彼女の気持ちも考えずに付きまとっていた様が目に浮かぶ。

「あのなぁ~!!勝手に納得するなよ!」

「大丈夫。ミクはこんなことくらいで自分を見失ったりしねぇよ。まぁ、お前を好きになることは無いだろうけどっ」

「慰めているのか?けなしているのか?」

「両方だ」

ミクが何故あんなにも『月人』の称号に拘るのか。
俺が思うにいなくなってしまったヤツとの『約束』ってのは、最強のエネルギーとなり得る。
それはミクじゃなくても俺でもそうかもしれない。


……ミクは今でもそいつのこと好きなのかなぁ。


もし仮にそうだとしても、

別に俺には関係ない、ハズなのに――。
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