ラッキー☆ルーレット
風が強くなってきたので窓の開け幅を狭めようとした時だった。
「ただいま」
ミクが帰ってきた。しかしあいつの姿が見えない。

「……一人か?」

気になっていなかったワケではない。
寧ろ……気になって仕方なかった。

「うん」

俺はベットから起き上がった。
彼女は特に変わったこともなく平然としているように見える。
装っているだけなのか、俺の気のせいなのか──。

「あいつは帰ったのか?」

「うん……」

「そっか」

俺は自ら聞こうとはしなかった。今は彼女の方から話してくれるのを待っていたのかもしれない。

「レオがね、結婚してほしいって」

「……」

「でも断っちゃった」

「ミク」
どうして断ったのか聞きたいのに聞けないもどかしさと、同時に少しだけ安心している自分が居た――。

「未来は……」

「何だ?」

「ううん、何でもない……それより、お腹空いちゃった」
いつものミクの顔。

「俺もだ」

部屋を出ると一階のリビングへ向かった。
母さんの用意してくれた夕飯を求めて。
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