ラッキー☆ルーレット
「返事、言わなきゃって思ってさ」
俺は夕飯を済ませた後、雪乃に電話をかけ近くの公園に呼び出した。

映画を見に行った帰りの彼女からの突然の告白。
動揺しまくっていた俺は、
『考えさせてくれ』
って言ったままにしていた。

「別に、学校で会った時でよかったのに」
夏休みもあと一週間で終わる、そんな夏の夜。

「やっと自分の中で『答』が見つかったんだ」
今の俺には誰が必要なのか。

「……蔵重君」

「ごめん。俺、雪乃とは付き合えない」

「そっか……」

「本当に、ごめん」
俺は暫く頭を下げていた。

「気にしないで。なんとなくだけどそんな気してたんだ」

「?」

「あ――、なんかすっきりした!このままウヤムヤにされるんじゃないかって思っていたから」

「そんなこと……」

「これから私たち友達になれるよね!」

「ああ」

『友達』――か。
俺には彼女の笑顔が生き生きとしていてなんだか羨ましく思えた。





「未来!お帰り!!」
部屋で留守番していたミクは俺がドアを開けると飛びついてきた。

「お、お前!!その恰好!!」
いつもの猫ではなくあの『人間の姿』だった。

「たまにはこの姿にもなっておかないとね!」

「なっておかないとね!じゃねぇよ!!母さんたちに見つかったらどう説明すれば……」
俯いたままの彼女が泣いているように見えた俺は、説教しかけて止めた。

「簡単よ」

「?」

「『恋人』ですって言えばいいんだもの」

「……」


「好きだよ、未来」


俺の『ラッキー指数』ってやつはまだゼロなのか?それとも……、

「俺もミクのことが大好きだ」

少しは上がったのだろうか?


ミク――、これが俺の最高の『笑顔』だ。



END
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