ラッキー☆ルーレット
あれ?


それは俺が瞬きをした一瞬の出来事であった。

さっきまで居たあの子は忽然と姿を消し、変わりに真っ白い猫が毛つくろいをしながらこっちを見ていた。

「これなら文句ないでしょ」

ね、猫がしゃべった~!

「……えっと……その」

「私よ、ミクよミク!言うなればこっちが本来の姿。せっかく人間の姿になってあげたのに」

「お前、人間じゃないのか?」

「ま、そんなとこかな。さぁ!早くお家に帰りましょ」

「……ったく」

ミクは俺の背中にピョンと飛び乗った。

「自分で歩けよ」

「嫌よ、この方が楽なんだもん」

「……あのなぁ」

背中の重みを感じながら、俺は今までのことを自分の中で消化し、理解しようと必死だった。

と言うより、今ここで理解不能で摩訶不思議とも言える現象が起きていることを受け止めるだけの余裕がなかった。
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