ラッキー☆ルーレット
「未来の背中って温かい」
彼女は俺の背中にピタっと顔を付けてそう言った。
「……猫のくせに人間みたいなこと言うんだな」
「私は人間みたいに嘘をついたりごまかしたりしませんから」
「羨ましいな」
「えっ?」
「つまり本音を素直に言えるってことだろ」
「……未来」
「羨ましいよ……」
辺りも段々と暗くなり始めてきた。日曜日の夜ということもあって、道を歩いているのも俺たちだけ。帰宅途中の学生もサラリーマンもいない。
すごく静かだ。
まばらに灯る街灯は暗い道を優しく照らしてくれていた。
「……あのね、ミクって名前は漢字で書くと『未来』って書くんだよ」
──『未来』
「同じだな」
「そうだね」
ミクの表情は分からなかったけど。
少なくても俺は……。
微笑んでいた。
☆
「ただいま」
俺は彼女を背負ったまま、玄関の扉を開けた。
「お帰り~どう?何か当たった?」
母さんの声は弾んでいた。俺のくじ引き歴を知っているハズななのに。
期待されているのか、それとも諦められているのか……。
多分……この場合は後者だろうな。
「びっくりするなよ!特別賞が当たったんだ」
俺は背中のソレを掴むと母さんに差し出した。
「あら?かわいい猫ちゃん」
「ニャ~ニャ~(私は賞品じゃないっての!)」
「何か言ってるみたい」
「気のせいだろ、こいつ飼ってもいいかな」
「福引きで当たった猫を捨てるわけにはいかないでしょ。いいわよ」
「本当か?」
「その代わりちゃんとあんたが世話するのよ」
「へ──い」
少しだけコイツの言っていることを信じてみたいと思ったから――。
彼女が『招き猫』かどうか分かるのはもう少し先のことになりそうだ。
彼女は俺の背中にピタっと顔を付けてそう言った。
「……猫のくせに人間みたいなこと言うんだな」
「私は人間みたいに嘘をついたりごまかしたりしませんから」
「羨ましいな」
「えっ?」
「つまり本音を素直に言えるってことだろ」
「……未来」
「羨ましいよ……」
辺りも段々と暗くなり始めてきた。日曜日の夜ということもあって、道を歩いているのも俺たちだけ。帰宅途中の学生もサラリーマンもいない。
すごく静かだ。
まばらに灯る街灯は暗い道を優しく照らしてくれていた。
「……あのね、ミクって名前は漢字で書くと『未来』って書くんだよ」
──『未来』
「同じだな」
「そうだね」
ミクの表情は分からなかったけど。
少なくても俺は……。
微笑んでいた。
☆
「ただいま」
俺は彼女を背負ったまま、玄関の扉を開けた。
「お帰り~どう?何か当たった?」
母さんの声は弾んでいた。俺のくじ引き歴を知っているハズななのに。
期待されているのか、それとも諦められているのか……。
多分……この場合は後者だろうな。
「びっくりするなよ!特別賞が当たったんだ」
俺は背中のソレを掴むと母さんに差し出した。
「あら?かわいい猫ちゃん」
「ニャ~ニャ~(私は賞品じゃないっての!)」
「何か言ってるみたい」
「気のせいだろ、こいつ飼ってもいいかな」
「福引きで当たった猫を捨てるわけにはいかないでしょ。いいわよ」
「本当か?」
「その代わりちゃんとあんたが世話するのよ」
「へ──い」
少しだけコイツの言っていることを信じてみたいと思ったから――。
彼女が『招き猫』かどうか分かるのはもう少し先のことになりそうだ。