ラッキー☆ルーレット
「おはよう」

「あ、おはよう」
俺の前の席に座っているのが雪乃まどかだ。
彼女はクラスで……学年でいや校内で一番かわいい。
もしかしたら日本中で……かもしれない。

話しかけてくれるだけでも俺は満足している、


「ホームルーム始めるぞ~!」


多分。





「さぁ!事情を聞かせてもらおうか?皆の目はごまかせても俺の目はごまかせないぞ」

昼休み、俺はミクを連れ出し屋上に向かった。
もちろん、『昼メシご飯おごってやる』と言う口実で。

「……そんなに恐い顔しなくたっていいじゃない」

彼女は『分かったわよ』と言わんばかりに、スカートのポケットから何か取り出した。


──ルーレット?


「何だ?これ?」

「『ラッキールーレット』って言ってね。私の住んでる世界では当たり前の道具ってとこかしらね」

「ラッキールーレット?」

「そう、これは人それぞれのラッキー指数が計れるの。あとはラッキー指数ゼロの人に標準を合わせると、時間軸を自由に動かすことができるんだ。(不幸な目に遭った時に時間戻りして修正したり、先に進んで回避するために)」

……時間軸を自由にって……つまり。

「タイムスリップできるってことか?」

「簡単に言うとそうね。今朝は未来に標準を合わせて、時間軸を一週間だけ早めたの。だから未来は時間が進んでることを感じなかったってわけ」

「なっなに~?!」

そっか……だからみんなはミクが居ても当たり前に。
待てよ、ってことは今日は……何日なんだ。
普通だったら十一日のハズだが。

俺は慌てて携帯の画面を開いて日にちを確認する。
待ち受けに表示されているカレンダーを見るために。


――五月十八日……?!


本当に一週間進んでる……。

ミクの言っていることを理解した時には、彼女は俺にお腹空いたと小さく訴えていた。
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