ラッキー☆ルーレット
――ガコン。
百円を投入し自動販売機のボタンを押す。

「ほれ、昼メシ」

「牛乳?」

「猫にはミルクって昔から決まっているんだよ」

「……もぅ!猫扱いするな。今の私は『夢月未来(むつきみく)』って名前の人間なんだから」

文句を言いながらも彼女は俺の手から牛乳を奪い、ストローを差してゴクゴクと飲み始めた。

「なぁ、進めた時間って元に戻せないのか?」

「戻せるわよ」

「そっか……」

「ごめんね。未来と一緒に入れる方法がこれしか思い浮かばなかったの」

「ミクが俺のためを思ってやったことだから、特別に許してやるよ。その代わり……」

「?」

「このことは俺とお前だけの秘密だ、いいな」

「うんっ」

誰にも知られるわけにはいかない。
そしたらミクは……、

ここにはいられなくなる。

俺にはそれが分かっていたから――。


でも……なぜ俺はこいつと別れることを恐れているんだ?


恐れている?

どうして?



どうしてなんだ……?
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