W・ブラッティ
2
『――繰り返してお伝えしています通り午後六時丁度に起きた爆発事件での死傷者は千人に達したと発表されました。そのうち死者は約六百名を超え、身元不明者が全体の八割近くにも上ると警察庁は報じています。警視庁はこの爆破事件を起こした犯人グループは中東のテロ組織が日本に上陸したのではないかという見解を強めています。今日――』
玲菜がテレビの電源を切った。三人がダイニングテーブルで座っている。慎次の右隣は麻耶で、その正面に玲菜が座っている。新城家のリビングはしんと静まり返ってしまった。
その沈黙を慎次が破る。
「それで、これからどうするつもりですか?――まさか鉄斎の要求に応じるつもりですか?」
「それも手と言えば手だけど……」
玲菜が口を濁す。鉄斎が言うには玲菜は聖から持ち出したデータを持っている。そのデータと自分を交換で『血の起爆』を解除する。と。
「そもそも、私が持ち出したデータってのは、さっき見た惨劇をさらに発展させるものでね。今は鉄斎が使っているシステムは、信管を使って『血の起爆』を作動させる。だけどその信管の方法では全ての人間に起爆の指示が行かない場合が報告されているの。それが唯一の弱点。解除指示は電気で飛ばす仕組みだから電波の届かない場所に行けば指示は受け取れないはずなの」
玲菜が一息ついて再び説明を始める。
「そして私が持ち出したデータは、その解除指示を電波から時限式にするものなの。」
「えっ?電波より原始的ですね」
「でも時間は誰にでも平等に告げる。あと一分後を避けて通れる人間はこの世に一人もいない。だから起爆指示を時限化にすることで起爆成功率をほぼ百パーセントにすることに成功したの。でも完成してから気づいた。これは科学の発展に役に立たないものだって。だから私はこのデータを持ち出して逃げた……」
玲菜がテレビの電源を切った。三人がダイニングテーブルで座っている。慎次の右隣は麻耶で、その正面に玲菜が座っている。新城家のリビングはしんと静まり返ってしまった。
その沈黙を慎次が破る。
「それで、これからどうするつもりですか?――まさか鉄斎の要求に応じるつもりですか?」
「それも手と言えば手だけど……」
玲菜が口を濁す。鉄斎が言うには玲菜は聖から持ち出したデータを持っている。そのデータと自分を交換で『血の起爆』を解除する。と。
「そもそも、私が持ち出したデータってのは、さっき見た惨劇をさらに発展させるものでね。今は鉄斎が使っているシステムは、信管を使って『血の起爆』を作動させる。だけどその信管の方法では全ての人間に起爆の指示が行かない場合が報告されているの。それが唯一の弱点。解除指示は電気で飛ばす仕組みだから電波の届かない場所に行けば指示は受け取れないはずなの」
玲菜が一息ついて再び説明を始める。
「そして私が持ち出したデータは、その解除指示を電波から時限式にするものなの。」
「えっ?電波より原始的ですね」
「でも時間は誰にでも平等に告げる。あと一分後を避けて通れる人間はこの世に一人もいない。だから起爆指示を時限化にすることで起爆成功率をほぼ百パーセントにすることに成功したの。でも完成してから気づいた。これは科学の発展に役に立たないものだって。だから私はこのデータを持ち出して逃げた……」