W・ブラッティ
エピローグ
「悠介?」


 悠介が泣いていた。声は出さず、ただ頬を伝う涙がそれを物語った。


「こんな奴のせいで、何にも知らない人がたくさん死んだと思うと。悔しくて……」


 亡骸の前で膝を屈して泣いている悠介の頭を麻耶が優しく撫でる。


「あなたはあなた。関係ないとは言えないけど、でもあなたの涙に優しさが伝わってるわ。大丈夫。あなたはそれを被る責任は無い。だから堂々と歩けばいい。」


「麻耶……」


「それにそんな顔じゃ慎次に合わす顔がないよ?だからさ。涙拭いて。」


「ありがとう……」


 悠介が笑うと麻耶のポケットから着信音が鳴る。良太だ。


『回収できたか?』


「ええ。無事に。今から帰ります。」


 そう言って通話を切った。携帯をポケットに入れて慎次の前に手を伸ばす。


「早く行こう?お父さんたちが待ってるって」


「……ああ。慎次も持っているからな」


 そう言って悠介は麻耶の手を握った。


 その後、新城良太の名前で会見を開いた。先日の爆破事件、『血の起爆』について、そして全てはサイエンスカンパニー会長の聖鉄斎の仕業であることも。これによりサイエンスカンパニーは失脚。関係者も次々と逮捕された。


 全てはこれで幕を閉じることになった。
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