探偵 早乙女瞳
入り口から入って来たのは若いカップル。まだ20代前半といったところか?

・・・・・・。

チッ!

ガキが背伸びしてこんなとこに来やがって、酒の味もまだ分からんくせに…10年早いんだよ!!

男の方が口を開く

「あれ?マスターは?」

「え?ええ…マスターはちょっと所用で出かけておりまして…」

「ふーん…じゃあ、お兄さんはバイトかなんか?まあ、いいや。ウィスキー、ロックでくれる?で…」

「あ、私…ここのおススメのカクテルもらえます?」

男に促され女の方もそれに合わせる様に注文した。

疑問系で?

言い切れよ!ったく最近の若者は…

自己主張も満足に出来んのか?

だいたい女の方!お前今ホントに飲み物欲しかったのか?

男に促されたからって適当に相づちうってんじゃないよー!

それにカクテルだぁ?カクテル言っておけば自分を可愛らしく見せられると思ってんだろ!?

ウソつけ!

アパート帰ったらジャージで焼酎かっ食らってます!って顔してるくせによぉ。

これだから、最近の女はイヤなんだ!

だから、オレは彼女作らないんだよ!

いや、モテないとかじゃなくて…

「あの…」

「は、はい!?」

「注文聞こえました?」

「は、はい。か、かしこまりまして」

ったく、いっちょ前の口を聞きやがって…



ふーむ…



えっと…ウィスキーだよな?



うん…ウィスキー。



ウィスキー…ね。



ウィスキーは分かるよ。



ウィスキー…



でも…



ロックってなんだ!?
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