探偵 早乙女瞳
ぼった
がはっ!!

なぜだ!?なぜここにあの男が!?


「すいません…」


ひぃ!…は、話しかけてきた。


「早乙女さん…こちらにいらっしゃいませんかね?」


へ?ま、まさか…あの時、顔を見られていなかったのか?


「ああ…早乙女さん…なら今日はまだ…」

「あ…ああ、そうですか…」


やっぱりそうだ。コイツ、オレをここのマスターだと思ってるんだ。危なかったぜ…


「ちょっと…待たせてもらってもいいですかね?」

「え、ええ…どうぞ」


追い返そうか…そう思ったが、ここはバーだ。ここで無理に「帰ってくれ」は怪しまれる可能性が…

幸い金貸しの拓にオレの顔は割れていないようだし…ここは、このままマスターが帰るまでやり過ごすか…

横目でさきほどのカップルを見ると、さっさと帰りたいのだろう。ウィスキーとカクテル『ブルーマウンテン』をハイペースで飲み干そうとしている。

気持ちは分かるぜ…

しかし…


「あの…」


オレは金貸しの拓に思い切って話しかけた。
< 37 / 48 >

この作品をシェア

pagetop