大人の恋愛事情
俺が戻ると社の中は、まばらだった。
もうそんな時間か~。
俺は、部屋に戻るといつもの通り、椅子に深く腰掛けた。
「社長、コレどうぞ!」
独特の臭いと、かすかにコーヒーの匂いが、部屋にする。
俺は、振り向かなくともその人物がわかった。
『柏木麗子』
柏木は、カップを机に置くと俺の方に歩み寄ってきた。
そして、俺の肩に手を乗せた。
「社長・・・」
甘ったるい柏木の声。
柏木の手が、肩から腕へとゆっくりと這った。
目をネトッとさせ、俺を見る。
俺・・・誘われてるみたいだ・・・。
「仕事が終ったのなら、すぐに帰るように!!」
俺は、そう言い放って席を立った。
「社長!!」
柏木の誘いに揺れなかった俺に苛立ったのか?柏木は、俺を強く呼んだ。
「社長!!私、あなたの事が・・・」
柏木は、そう言いながら前に立ち俺の首に手を回すと、強引に唇を遭わせて来た。
なんだコイツ!
俺は、「やめなさい!」彼女の首にまかれたかのような手を解こうと、腕を上げた。
「社長・・・私のような女・・・嫌いですか?」
甘ったるい柏木の声が、耳元で俺の感情を逆撫でした。