大人の恋愛事情

「じゃあ~ドレにする?」

財布を出しかける大水さんに、オネーさんが「一つで良いの?」と、言う。

オネーさんの言葉につられて「大水さんは、ドレが良い?」そんな事を言った私。

「ドレも、同じだろ~」

「そんな事ないです!ほらココに星座が!!」

ストラップを手に、私は、大水さんに見えるように背伸びして手を上げ顔の前に近づけた。

「わかった!わかった!!」

そんな私に苦笑いをしながら、大水さんは、私の頭をポンと叩く。

「じゃ~私は4/29、生まれだからおうし座!大水さんは?」

ヤレヤレといった表情で「9/23」しぶしぶ答える。

「じゃ~てんびん座!!これください!!」


なんだか恋人みたい~。

こんなのって、良い!すごく良い!!


オネーさんは、自分で言った一言で二つ買いしてもらえ満足だったのか笑顔で手早く小さな紙袋に摘め大水さんからお金を受け取った。


あっ!!私も払わないと!

私がカバンから財布を出したら「いいって!それで、二つ分」

広げかけた財布を押さえた。


かっこいい・・・っていうか、コレが大人なのかな・・・。

アイツといる時は、いつも割りカンだったな。


私は、受け取った紙袋を持って嬉しかった。

初めて大水さんに買ってもらっちゃった。それもオソロい!。


「ありがとうございます」

「いえいえ。此方こそ。喜んでもらえて光栄です!」

ニタニタしっぱなしの私の顔に、思わずそう言い大水さん。

お仕事モードのその言い方が、変でお互い顔を見合わせて笑った。

そうか・・・。

大水さんのこんな口調、初めて会ったとき以来かもしれない。









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