パパとママだけのヒミツのお話
「ただいま」
いつもの時間に
いつのも大好きな人の声。
大好きな旦那さまのお出迎えは今まで日課だった。
でも、もうそれは過去の事。
「メイ?花?」
きっといつもの出迎え組がいなくて心配してるんだろうけど。
今日は何があっても絶対に行かないんだから!!
「いるんだったら返事しろよ」
リビングに入ってすぐにあたしと花の存在を確認して安心する想。
そんな安心してもいいの?
「おかえり、パパ」
小学生にしては難しそうな本を読んでいる花が
一旦顔を上げて視線を想に合わせる。
あ、こら!!
今日はパパを徹底的に無視するって
あたしと花で親子の誓いを立てたのに。
もう簡単に破るんだから。
「ただいま、花。それ、俺の書斎にあった本だな」
「うん、司馬遼太郎、この人の作品って面白いよね。
分かりやすいし」
って普通に会話してるし。
「だろ?今度読み終わったら違うの貸してやるよ。
・・で、アイツは何で怒ってんだ?」