パパとママだけのヒミツのお話


急に視界が真っ暗になって、前も後ろも見えなくなる。


「ユウちゃん、これどういうこと?」

「・・・・」


でもユウちゃんからの答えはなくて



「想、想どこ!!」


必死に想の名前を呼ぶ。


でも誰も答えないし、何も動きがない。


ただ、静かに時が過ぎる。



「想、どこ?」


怖くて

寂しくて


光を失ったあたしは今にも泣きそうな声を出す。


その時


急に掴まれた温かい手。


その手が誰の手なのかすぐに分かるのは

あたしがその人が好きだから。


ずっとずっと握ってくれていた手。

何があっても離さないでいてくれた手。


その手の温かさが

「大丈夫」

って言ってくれてるみたいで


何故か冷静さを取り戻す。


想の大丈夫はいつもあたしを安心させてくれるから。


だから少し怖いけど、想の手をぎゅっと握りしめて

その手に導かれるように

歩き出した。





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