春の色は、藍より青く
「みんなと別れるの、イヤだった…」
そう言って、かなえは友達と花火大会に行った時の写真を見つめる。
小学校を卒業して、地元の中学校に通うものだとばかり思っていたのは両親からの「お受験」の話。
「受かっちゃったんだよね…」
残念、とは思わないけど本当は、普通にみんなと一緒に同じ中学校に行きたかったのだ。
しかし、かなえは元来、反抗心が無く、悪く言えば意志が弱くて人の言葉に従ってしまうタイプ。
両親の必死な熱意に押され、まあ行ってもいいかと気軽に乗っかり、頭が悪くは無かったので合格した。
「友達できればいいなー」
友達は沢山いたし、かなえの進学を聞いてみんなは泣いてお別れパーティーをしてくれる。
とうとうその友達とも別れて、かなえは1人別の道へ行く不安を抱えながら過ごす
そんな春休みのことだった。
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