ガチャポンな彼女
「いらっしゃい!」

こめかみにこう薬を貼った薄汚い着物姿のばあさんがにかっと金歯を見せて笑っていた。

「あ…どうも…」

「さあ。何にするかね?」

ばあさんはもみ手をしながら、またにかっと笑った。

「いやあ、別に、俺ほしいものとかないし…」

大体、なんで駄菓子屋なんかに…。

俺はあの変態男から逃げたかっただけだ。

駄菓子を買いにきたわけじゃない。

「ちっ、けちな男だ」

ばあさんは軽く舌打ちをしてみせた。



なんだ、このババア。

駄菓子を押し売りでもする気なのか。

とにかくなるたけ関わらないほうがいい。

そう思った俺は不自然な愛想笑いを浮かべて「どうも」と後ずさりした。







< 10 / 35 >

この作品をシェア

pagetop