ガチャポンな彼女
「また、あの変態男が出てきても知んないよ」

とばあさんが脅すので俺は硬貨を受け取るしかなかった。

俺がこわごわと金色の硬貨のはしっこをつまんでいると、「そしたら、あっちだ」とばあさんが言った。

「あっちって…」

ばあさんが指差したのは、店の端っこにおいてあったガチャポンだった。

「これでガチャポンしろって言うのか?」

信じられないって顔をしていたんだろうな、俺。

ばあさん、すかさずこう言った。

「信じるものは救われる。世の中なんかそんなもんだ。だいたいおまえさんはついてるよ。あたしと出会ったおかげで救われるんだから」

「救われるって」

「いちいち疑り深い子だねえ。あそこにお金入れてくるっと回せばいいんだよ、ほら早く」

俺はばあさんに従うことにした。

はむかいでもして、またあの変態男を出されたらたまったもんじゃない。
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