ガチャポンな彼女
ここは一体どこだろう。

路地は二メートル弱しか道幅がない。

両脇には古びた民家が肩を寄せ合うようにして軒を並べる。


あの男が追ってきたらどうしよう。


そう思って振り返ろうとすると、「こっちだよ!」という女の声が聞こえてきた。

女といっても…。

俺がわくわくするようなお姉さんの声なんかじゃない。

ばあさん。

しかもガラの悪そうなばあさんの声だ。



「え…あの…」

「ほら、もたもたしてるんじゃないよ。こっちだっつうの、こっち!!」



俺はばあさんの声に吸い寄せられるようにして、気がつくと小さな駄菓子屋の前に立っていた。







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