小さな街のドアベルマン

ドアベルマンの恋

ここは、とある州の小さな街。
街の名前は、鈴凛(ﾘﾝﾘﾝ)
どうしてそんな名前なのか？
良く耳を澄ませれば、答えは見つかります。


カ～ン リン カ～ン コン


聞こえました？
この街は色んなベルの音が聞こえるから、鈴凛という名前なのです。


そして、この街で有名なホテルのドアベルマンを勤めているのがこの物語の主人公。


白い手袋をはめ、黒いスーツを身にまとい、ピカピカに磨き上げた革靴を履きドアの前でお客様を待つ。


本当の名前は、誰も知らず、みんなからはベルと呼ばれています。


おっと、お客様がいらしたみたいだ。



「やあ、ベル」


『こんにちは。』


今日も顔なじみのお客様を中へ入れ、新しい一日をむかえる。


高く昇る太陽を眺めながら、ドアの前でお客様が来るのを待っていた。



「こんにちは!」


『こんにちは、お嬢様。』


そこへ一人のお嬢様がいらっしゃいました。
ベルはニッコリ微笑み、ドアを開けると


そのお嬢様は
「お嬢様？ふふふ」
と笑い、ありがとうと言いながら、中へ入って行きました。


端から見れば、いつもと同じ他愛も無い会話。
でも、ベルには違いました。