小さな街のドアベルマン
次の日ベルがいつものように、ドアの前に着き
いつものように仕事を始めました。


「やあ、ベルおはよう」


そう声を掛けてきたのは、昨日と同じお客様。
このご老人は、毎日欠かさず、ホテルで朝食を食べるお客様で、ベルとあだ名を付けた人物でもある。


『おはようございます。』


ニッコリ微笑み優しい口調であいさつを交わす。


『今日も朝食を?』


「ああ、ワシの唯一の楽しみだからな!」


ワッハッハと笑いながら、ご老人はホテルの中へ消えて行きました。


今日も高く登る太陽を眺めて、深呼吸をしていると、昨日とちょうど同じ時間に、また一人のお客様がいらっしゃいました。


「こんにちは!」


『こんにちは…』


その瞬間ベルの心臓が一気に跳ね上がったのです。


『お嬢様。』


「ふふっ
私お嬢様じゃないのよ?」


そう笑いながらベルを見つめるのは、ベルが恋をした名前も知らないお嬢様だったのです。



「あの、ドア開けてくれますか?」


そう言われ、気づくと
すっかり本来の仕事を忘れ立ち尽くすベルが居ました。


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